禁断の惑星(forbidden-planet):1956年

あらすじ

超光速航法が確立され、宇宙への移民がはじまった2200年代が舞台。地球人の宇宙船が、「地球タイプ」の星アルテアに降り立つ。そこに居たのは、超高性能のロボット「ロビー」と、その開発者モービアス博士とその娘。20年前に連絡を絶った移民団の捜索のために、地球人とモービアス博士が交流を始める。モービアス博士は、20年前に起きた恐ろしい出来事について語り始める。背景には、超古代文明と博士の強大な自我があった。

演出

はめ込み合成が多用されてます。「ああ、昔の作品だなあ」と感じてしまう地味な演出ですが、近年のCGのような派手さがないぶん、子供のころ観ていた特撮戦隊物を見るような安心感もありました。

終盤に出てくる「イドの怪物」はいかにもアメリカ的。姿を見せるシーンが少しだけありますが、ディズニー映画に出てくるライオンのような表現で、あまり怖さが感じられません。(私が日本文化の中で育ったからかな?)

また画面全体に「60年前の未来像」が溢れており、本筋と直接関係ない、いわば「脂身」に当たる部分で楽しめるのが良い所。超光速航行に電子銃、なんでもできるアンドロイド。大阪万博に興奮する子供の気持ちがわかるような気がします。

面白いなと思ったのは、目に見えない「イドの怪物」が襲ってくるシーン。底から砂を落としたり、階段を凹ましたりすることで「透明な怪物が歩いてくる様」を表現するアイデアは見事です。

他にも、博士の家の地下にあるクレール人の通路の乗り物は、「2001年宇宙の旅」の作業用モジュールにそっくりなシンメトリー構図で、のちのスタンリー・キューブリックにも影響を与えているのかも、と思うところがありました。

うんちく

最近では、気鋭の表現者「志人」とTaboo1というMCによる曲「禁断の惑星」で大胆にサンプリングされたことでも話題になりました。

歌詞についても、当作品を踏まえたであろう箇所が多く見受けられます。下記に一部を引用します。

例えこの身が滅び朽ち果てようといつまでもささやかな幸せが此処に有ります様に青い地­球を守り抜くアフォリズム 後いくつ数えれば悟りの里にたどり着くのだろう? 足跡に次ぐ 星は後に継ぐ 借宿に棲む 大家族地球人よ旅が呼ぶ マシンガンを捨てカリンバの羅針盤を手にいざゆかぬかブラフマン

ちなみに同曲では、当作品の他に

  • ファンタスティック・プラネット(フランスのSF映画)
  • 博士の異常な愛情(スタンリー・キューブリック)

といった映画が使用されています。

総評

話の本筋自体は、SF映画としては目新しいものはありません。しかし60年前に制作されたことを考えると、恐ろしく先進的な映画だったのだろうと思います。

60年の時を経ても、表現者を刺激し続けられる名作であることは間違いありません。オススメです。

by カエレバ

 

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