The Awakening (Ahmad Jamal Trio):1970

The Awakening の概要

Ahmad Jamal率いるピアノ・トリオの1970年の作品。

グルーブ感あふれる演奏が特色。

HipHopの歴史において数多くの名盤にサンプリングされており、HipHop全盛の90年代の音楽的洗練はこのアルバムの存在によって確かになったと言っていいと思います。

The Awakening の曲目

曲目は以下の通り。7つと少なめですが、一曲もはずれがありません。

The Awakening

初っ端から素晴らしい一曲。全体に落ち着いては居ますが、たまに入るキラリとしたピアノ、大胆な展開に豊かさがあります。

私の知る中で、サンプリングされている曲は下記の通り。

  • It’s on You – Pete Rock & C.L. Smooth(1994)
    The Main Ingredientに収録された、私のお気に入りの一曲。ピアノのループを非常に効果的にループし、泣きのメロディに昇華させています。
  • DJ Premier in Deep Concentration – Gang Starr(1989)
    デビュー・アルバムNo More Mr. Nice Guyに収録。Dj Premierが「これぞ俺の曲だというものを作りたい」といって、スクラッチで表現した一曲。(確か「Eric B is the President」を例に出していたような?忘れた)
  • Change – Shadez of Brooklyn(1996)
    「Lost & Found」というコンピで紹介されて一躍有名になった泣きのアンダーグラウンドクラシック。私がDJやってたころは良くこの曲で2枚使いやってたものです。懐かしい。
  • Analyze – Square One(1999)
    DJ Premierの影響を強く受けているドイツのアングラHipHopグループSquareOneの一曲。これも憂いある一曲に仕上がっています。

I Love Music

題名の通り、軽快なタッチで楽しそうにピアノを引くJamalの姿が浮かぶような一曲。

  • The World is Yours – Nas(1994)
    これは結構露骨な使い方。Pet Rockプロデュース。詳細はillmaticの記事で。
  • Me or The Papes – Jeru the Damaja(1996)
    2ndのWrath of the Mathより。プロデュースはDJ Premier。自在なJeruのフローが、ベースとハイハット、メロディの最低限の構成で作られたトラックに絡みつく名曲。その重要なメロディ部分を支えています。

Patterns

グルーヴ感より疾走感のある一曲。サンプリングソースとして使われることは少ない様子(知らないだけかもしれないけども)。

比較的ベースが目立つので、サンプリングしようと思えばできなくもない?

Dolphin Dance

このアルバムの中でも特に印象的な一曲。元はハービーハンコックの曲です。

  • Resurrection – common(1994)
    ミッドウエストで活躍していたcommonの大名曲。 プロデュースはNo I.D.。たいへん良い仕事してます。
  • Time’s Up – O.C.(1994)
    94年の豊作年の一角を飾るTime’s Upの表題曲。プロデュースはDJ Eclipse。O.C.の強いフローに合った重厚感のあるトラックに仕上がっています。
  • Can’t Wait – Deda(2003)
    本来は1994年ごろにリリースされる予定だったDedaの「The Original Baby Pa」より。Interscopeとトラブってお蔵入りしていたものが、2003年になってリリースされました。さすがに全盛期のPete Rockが本気でプロデュースしているだけあって、ネタのグルーヴ感を活かした完成度の高い一曲になっています。
  • In All the Wrong Place – Kero One(2006)
    恐らくJoe SampleのIn All my Wildest Dreamsに曲名をかけてる一曲。これもループが印象的です。

You’re My Everything

明るい曲調で幸せな気持ちになる一曲。金曜日の夜に解放された気分でウイスキーを傾けるのが合う曲です。

  • Get on the Mic – Pete Rock & C.L. Smooth(1994)
    こちらもThe Main Ingredientの一曲。アウトロに使われています。

Stolen Moments

元はOliver Nelson。ムードたっぷり。昼間のカフェが合いそうです。

Wave

Antonio Carlos Jobimのカバー。Ahmad Jamalがしっかり消化しており、原曲とはかなり違った曲に仕上がっています。

The Awakeningの総評

単純にJazzのアルバムとしても最高ですが、なによりHipHopの歴史に与えた影響が計り知れません。

Jazz好きはもちろん、HipHop好きは必聴のアルバムです!

 

by カエレバ

 

illwax