V フォー ヴェンデッタのあらすじ(ネタバレ)
概要
薬物によって人体を改造された超人、V(ヴィー)がテロリストとなって国家からの革命を達成する物語。
ストーリーは
- 監視国家で、Vとイヴィー(ヒロイン)との邂逅
- Vによる革命の予告
- イヴィーの監禁と覚醒
- 革命の達成
というように大きく別れています。
監視国家で、Vとイヴィー(ヒロイン)との邂逅
夜間外出が禁止されたイギリス。独裁者サトラーによる監視国家と化した世界で、イヴィーは暴漢まがいの秘密警察に、夜間外出をしていたところをとがまれる。
そこに颯爽と現れイヴィーの身を救ったのは「V」(ヴィー)と名乗る、ガイ・フォークスの仮面をかぶった紳士だった。
Vに「オーケストラに行こう」と誘われ、ビルの屋上から観たのは、Vによるテロ行為、裁判所の爆破だった。
Vによる革命の予告
Vは局に潜入、電波ジャックを行い、
「監視国家からの革命を願わくば、一年後の今日、ガイ・フォークスの仮面をもって広場に集まるように」
とイギリス中の世帯に呼びかける。
成り行きでVを助けたイヴィーは、Vの隠れ住む地下に身を隠す。
イヴィーの監禁と覚醒
両親を国家に殺されているイヴィーは彼のテロ行為に賛同し、要人殺害のサポートを買って出る。
しかし作戦途中で逃げ出てしまい、TV局の上司であるゴードンの家に隠れることに。
ゴードンは、国が禁止している「コーラン」を所持していることや同性愛嗜好の持ち主であることを明かし、国家に対する叛意を明らかにする。
ある日ゴードンは、独裁者であるサトラーを揶揄したバラエティ番組を作成したところ、秘密警察によって連行、殺害されてしまい、それによってイヴィーも逮捕されてしまう。
イヴィーが、顔にかけられていた袋を剥がされると、地下牢と思しきところにいた。
髪を剃られ、水攻めなどの拷問にあうイヴィー。鼠が出入りする穴の中にあった、以前の囚人の手紙を精神の支えにしてなんとか耐え忍ぶ。
「Vの居場所を知らせなければ殺す」と言われたイヴィーは頑として言わず、銃殺を受け入れる覚悟を示した。
なぜか解放されたイヴィーは、そこがVの住む地下室だったことを知る。拷問の主もVだった。
直後にはVを責めたてたイヴィーだが、拷問によって覚醒したという事実を受けいれ、革命の日までに再会することを誓い、二人は別れる。
革命の達成
革命の前日に再会したVとイヴィー。Vは、国会議事堂への爆弾を積んだ電車のレバーをイヴィーに託す。
Vが計略を用いて独裁者サトラーを自らの手で殺すが。その手下らと先頭の末、瀕死の状態に陥る。
なんとかイヴィーの待つ地下鉄に辿り着いたVは、爆弾を積んだ電車に積まれ、国会議事堂とともに爆散する。
広場には、軍を押しのけたガイ・フォークス、民衆の群れがあった。
V フォー ヴェンデッタの演出
撮影場所
屋内の撮影はすべてドイツのスタジオで。
ヒトラーの独裁を歴史に持つドイツは、撮影にうってつけの空気があったそうです。
ガイ・フォークスの面やVの衣装は、当代のプロが再デザインし、17世紀を基調としつつ現代的で洗練されたものになっています。
爆破シーン
裁判所や国会議事堂は、ミニチュア模型を作って爆破することで撮影されました。
いわく、「予算の許す限り、模型は大きいほうが良い」とのこと、確かに完成度が高く納得です。
残念なところ
もともとコミックであったことから、「いかにも」な荒削り演出が多いのが玉にキズ。
例えば独裁者のサトラーは、恐らくサッチャーとヒトラーを足して2で割った安直な名前だし、独裁者としての像も「1984」のビッグ・ブラザーからの先進性は見られません。
また軍事国家を強調するためのシーンでは近衛兵と思しき人達の軍事行進がありますが、なんとも緊張感がなく、かなり絵面を汚してしまっています。
こうした点から、倒すべき敵がなんとも安直に見えてしまい、結果として、テーマである「市民の革命」が安っぽくなってしまっているのは残念な点だと思いました。
それと、国家を揶揄した番組を作ったゴードンの連行、殺害も、かなりギリギリ。
独裁者とはいえ政治家は人気商売、多少のパロディ程度で責任者を殺すとなると、さすがに人心は離れるでしょう。こうした点も、敵を安直に見せる要因に思えて仕方がありません。
また、完璧主義であるVが、爆破というテロ行為にこだわっているのも少し残念。
- 暗殺による復讐は達成できているのだから、国会議事堂の爆破は美学に反するのでは?
- 夜間とはいえ管理スタッフもいるでしょうに、一般人も殺していいの?
- 形骸化しているとはいえ、民主主義の象徴ではないの?
- 言論する場を封殺することは、民主主義と真逆のことではないの?
などなど、ツッコミを入れたくなって仕方がありません。
この点については制作側も思うところがあったのか、政府の象徴だから~といった理屈がVによって延々と語られますが、やはり無理筋な印象がどうしても残ってしまいました。
また最後の戦闘シーンも、やっぱり無理があります。
そもそも大量の銃弾食らって瀕死の状態であんなアクション不可能でしょ、ということは野暮というもので触れませんが、しかし敵役、「全弾撃ち尽くしたら装填の時間は無い」と言われた後に全員が全弾撃ち尽くすとか、ちょっと間抜けすぎるでしょう。
結果、瀕死のナイフ使い一人に惨殺されてるし。いくらなんでも特殊部隊はそこまで弱くないはず。そこは計算高いゆえの圧倒的な策略とか罠とかで着実に倒して欲しかった。
・・・といった具合に、構成にかなり粗さが見えましたが、そもそも構成の緻密さを楽しむ映画ではないのかもしれません。
V フォー ヴェンデッタの総評
細かい不満点をあげつらってしまいましたが、十分なメッセージ性と、世界観の描き方、Vのエレガントな振る舞いは、見て損はありません。
赤身ではなく脂身を楽しむための映画。オススメです!
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