フルメタルジャケットのあらすじ(ネタバレ)
概要
徴兵された若者が、戦場で人を殺すまでの心理的な変化を描いた物語。原作は「ショートタイマーズ」という小説。
ストーリーは
- 前半は海兵隊訓練所での訓練風景
- 後半はベトナムでの戦争風景
というように前後半で大きく別れています。
海兵隊訓練キャンプ
髪を刈られた若者はキャンプに入る。
そこで教官であるハートマン軍曹に、「ジョーカー」や「ほほ笑みデブ」といったアダ名を付けられる。
ジョーカーは度胸を買われ、班長に任命される。周りの足を引っ張ってばかりだった微笑みデブは、ハートマン軍曹の指示でジョーカーから「小便の仕方から教えてもらう」ように指示を受ける。
銃撃の才能を見出した微笑みデブは狂気を宿し、訓練所を卒業する日になって発狂し、ハートマン軍曹を射殺、その後銃口を口に加えて自害する。
ベトナム戦争
ジョーカーは新聞部として戦地であるフエ市に向かう。
敵兵の埋葬や、いくつかの戦場を経験し、ついにジョーカーは敵のスナイパーの少女を拳銃で殺します。
兵士が行進しながらミッキーマウスマーチを歌って終わります。
本当はアニマルがナタで狙撃手の首を切り取り、掲げるというシーンがあったそうですが、不要に恐ろしすぎるという理由で却下されたそうです。
フルメタルジャケットの演出
戦争シーンの撮影場所はロンドン東部
飛行機が苦手だったキューブリックは、ベトナム戦争のシーンもイギリスで撮ることにします。
(余談ですが、キューブリック自身は飛行機運転免許も持っているくらい飛行機が好きだったそうですが、知人のカメラマンが飛行機事故にあって、遺品の焼けただれたカメラを観て以来、飛行機に乗れなくなってしまったそうです)
イギリスのガス工場の跡地を使ったとのこと。フランス式建築だったため、同様にフランス式建築が特徴のフエ市によく似ていて非常に都合がよかった様子。ヤシの木などは現地から輸入して移植するほどのこだわりよう。
また案の定撮影期間はめちゃくちゃに長く、最初は18週間の契約だった撮影期間が17ヶ月になってしまったとのこと。
あまりにも撮り直しが多いので、エイトボール役の俳優が「キューブリックは完璧主義者だ」といったら、イギリスからエイトボール役に「俺のどこが完璧主義者なんだ?」と詰められたそう。
スナイパーと対峙する場面では、1テイクごとに建物の外壁を2~3日かけて修繕して撮影しなおしたと言われており、そのため塀の先に行くのに1ヶ月間もかかったそうです。
また撮影場所を決めるために、リー・アーメイと車で現場を回っていた時、あまりにも風景に注意を向けていたキューブリックは、二メートルほどの水路に車を落としてしまう。車は横転して水没したが、何事もなかったかのように水路から出て話を続けた。リーを「こっちにこいよ」と呼ぶあたりでようやく事故に気づいたとのこと。
ハートマン軍曹のキャスティング
ハートマン軍曹を演じているリーは、キューブリックと電話し、「自分が知っている海兵隊の知識は古いかもしれない」と謙遜しつつも、「型破りで突飛なところが良い」と説き伏せられ、演技指導として仕事を引き受けたとのこと。
ところが指導の様子を見てキューブリックはハートマン軍曹として出演させる判断を下す。もともとハートマン軍曹役だった俳優は、ヘリから機関銃を乱射するチョイ役に降格になってしまったそう。
とはいえこのシーンも非常に印象深く、
- 「逃げる奴は皆ベトコンだ、逃げない奴はよく訓練されたベトコンだ」
- 「女子供を殺すのは簡単だ、動きがのろいからな!ホント戦争は地獄だぜ!」
は本当に名言ですね。
微笑みデブ(ゴーマーパイル)のキャスティング
微笑みデブ役のヴィンセント・ドノフリオは、ジョーカー役の俳優がキューブリックに推薦したもの。
もともと痩せ型だったそうですが、微笑みデブ役に合わせるために増量を要求される。
14キロ増やした段階で会いに行った時、「まだ人をいじめそうに見える」とキューブリックに言われ、結局36キロも増量したとのこと。
撮影中は体重維持が大変だったそうです。
フルメタルジャケットの総評
赤身ではなく脂身を楽しむための映画だと思います。画面の隅から隅まで深み、奥行き、説得力があります。
非日常を経験したい時にオススメです!
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