この作品はすごすぎて、何を書いても価値を毀損してしまう気がします。
メタ視点でいうと、美の一つの型を学べたのかな、と思います。
シンメトリーの美しさ。上があれば下がある。右があれば左がある。
当たりまえなんですが、それを意識して作ることで、どれだけ画面が美しくなるか。
美的感性を養うために、たまに見返したくなる映画です。
ところで、終盤でボウマンがグラスを落とすシーンについて、長らく謎だったのですが、つい最近自分なりの答えを見つけました。思うにあれは、序盤の「道具の獲得」の対応するものとして「道具からの脱却」を表現したかったのではないでしょうか。
モノリスがヒトに与えた進化は「道具」に象徴されるものでした。道具からの脱却は、「道具」の進化レベルからの脱却、つまり次なる進化段階への移行のために必要なプロセスだったのでしょう。その直後にモノリスが現れていることからも、きっとこの考え方はそう外れていないのでは、と思います。
また、特にこの映画で重要視されている対称性の観点からも、この仮説を補強できるかもしれません。対称性は絵面だけでなく、ストーリー構成にも反映されていると思います。ざっくり、ストーリーを整理すると下記のとおりです。
旧次元→モノリス出現→道具の獲得→種の選別→道具の廃棄→モノリス出現→新次元
つまり、ボウマンらとHALによる種の選別競争を中心として、上記の通り対称的な構成になっていると考えると、やはりあのグラスは道具からの脱却を指していると考えるのが自然な気がします。
長々書きましたが、とにかくオススメ。なんど見ても素晴らしいです。星5。
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